引用元: ・その神経がわからん!その66
ある時「奥さんが育児ノイローゼ気味で物を片付けられず、ゴミ屋敷になりつつある家」の仕事依頼が入り、先生と一緒に家に伺った
30代の夫婦と、まだ幼い子供さんの一家で、当日は手伝いのため奥さんのご両親も来ていた
行ってみたらゴミ屋敷というほどでもない。ただ確かに物が積まれていて、服なんかは全部出しっぱなし。
家は新築で、とてもおしゃれな感じ。
聞けば、引っ越ししたら環境の変化のせいで体調を崩し、体が動かなくなった
今は子育てをするのがせいっぱいで、片付けに手が回らないと。
旦那さんは、家が建ったばかりの時の広々と明るい部屋の写真を出してきて
「こういう空間を取り戻したい。不要なものを捨てて、きちんと収納してもらいたい。
そして片付けの方法を妻に教えて、維持できるようにしてもらいたい」と言ってきて
隣で奥さんとご両親は申し訳なさそうにしていた。
で、先生は家の中をぐるっと見渡して確認した後、戻ってきて一言
「無理だわw」
は?!と固まる一家に向かって、さらに一言
「だってここ収納スペースがほとんどないじゃん。そもそも収納できないじゃん」
階段下と浴室横にちょっとした物入のスペースがあるだけで
押し入れやクローゼットのような収納スペースがない。
「いや、でもプロなんだから片付けられるでしょ」と、旦那さんは煽り気味に食い下がったけど
例えば寝室は旦那さんのこだわりで和風モダンな畳部屋
布団で寝てるんだけど
じゃあその布団をどこに片付けるのよ。和室なのに押し入れないじゃんw
先生、布団や洋服やその他生活用品など、必要最低限なものを選んで、
旦那さんに「これをどこに仕舞うのか、指示してください。そうしたら片付けます。
私は収納のプロですが、魔法使いではないので、これを小さくしたり、亜空間に収めることはできません」
旦那さん「ぐぬぬ」
引っ越し前に住んでいた家は収納が多めにあったので
問題なく暮らせていたらしい。
この家に引っ越してきてからは、収める場所がないから出しっぱなしにせざるを得なく
(奥さんは収納家具を買いたいと言ったのに、旦那さんが『家を買ったから金がない。だいたい広い家に引っ越すのにそんなのは無駄だ』と一蹴したと、あとで聞いた)
頑張って片付けても掃除してもゴチャゴチャと物が積まれる家にいて
奥さんはどんどん気力が無くなっていったのが真相
おまけにキッチンは異様に狭いし、とにかく家の中の動線が変
しかも!ここの家の階段、スカスカに隙間が空いてるデザインで、しかも強化ガラスみたいなの使ってるから滑る
子供さんなんか小さいから隙間から転落する恐れすらあった
先生「こんな家じゃ、私だって片付けられないわ
子供が危ないんじゃないかと思ったら寝てらんないし、そりゃ鬱にもなるわ!
よくこんな家を設計したね」
旦那さんは「いやいや、設計者は何度もコンペで賞を取っている、優秀な奴で」とかムキになってたけど
「お洒落な商業スペースをデザインするのと、暮らしやすい家を設計するのは全然違うだろう」と
奥さんのご両親に説教されてシュンとなってた
誰だったか、世界的に有名な建築家が
自分の設計した家には住みたくないって言ってたよね
交通費プラス手間賃は奥さんのご両親からいただいたけど。
だいぶたってから奥さんから連絡が来た
あのあと子供さんを連れて実家に帰ったら、だんだん元気を取り戻したそうだ
家から離れたら憑き物が落ちたようになったと。奥さんのお父さんは
「ちょっと名の知れた人と友達なのを鼻にかけて
妻の意見も聞かずに家を建てて、娘を病気にした。
だいたい建築費用の3分の1はうちから出してるのにふざけるな」
とカンカンに怒ってるらしい
お洒落で明るくてきれいだけど、人を病気にする家ってあるんだなと、他人事だから面白かったけど
高い金払ってあんな家建てる神経が分からんかった
住む家はあんたのトロフィーじゃないっつうのよな
その旦那さんがどれだけ家事を奧さんに丸投げしてたか、いかに自宅で“生活”しようとしてなかったかが透けて見えるようで、面白くもあり恐ろしくもある話だった
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