彼(今は元カレ)と私は同じ大学で、映画が好きという共通点から付き合いが始まった。
好きな映画のジャンルも、映画館が大好きなのも同じで、最初はとても順調な交際だったと思う。
亀裂が入ったのは、たまにはまったりDVDでも見ようかと、彼の住んでるアパートを訪れたとき。
たくさんDVDを借りてきて、お菓子やご飯を買い込み、休みだから朝から晩まで映画三昧だ!と最初は2人ともワクワクしていた。が、いざDVDをかけ始めると、お互いの観賞スタイルの違いが浮き彫りに。
私は基本的に、どっぷり映画そのものに浸りきりたいタイプ。
五感のすべてを映画観賞にそそぐから、映画館でも家でも「映画を見る」以外のことができない。
いわゆるポップコーンや飲み物を映画が始まる前の予告編で食べきる人間。
ストーリー展開や役者の演技もじっくり記憶に刻んで、映画が終わってから、あの話の流れはどうだとか、あの役者の演技はどうだとかを考えていく。
対して彼は、映画館は映画館、家は家、と観賞スタイルをまるっと変えるタイプだった。
家ならではの楽しみ方なんだからと上映中、派手にお菓子ボリボリ飲み物ゴクゴク、スマホ片手にゲーム三昧。
しょっちゅう立ち上がっては何かを取りに行き、冷蔵庫バタンバタン、食器をカチャカチャ。
そして、とにかく独り言が多い&こちらへ映画の感想の同意を求めてくる。
「うわ、きっついなー!主人公可哀想じゃん、やめたれよ~」
「えーこの展開はどうなのよ?彼女の心理描写雑じゃね?どう思う?」
「あっ!俺伏線分かった!ほら、さっきのアレがコレでこの先こうなるんじゃ?!」
みたいな感じで、私の肩をバシバシ叩いてくる。
気が散るからやめてくれ、あなたの声で台詞が聞けなかったと抗議すると、「ごめん!じゃ戻すわ」といって、安易に巻き戻し。新鮮な気持ちで全編を通しで見たい私としては、このチマチマした巻き戻しが一番ストレスが溜まった。家と映画館は違うんだから、彼の楽しみ方は間違ってるわけじゃないんだけど、でも、どうしても私には受け入れがたかった。
彼は彼で、映画館と違うのに、上映中一切無反応(話しかけても生返事)になってしまう私が不満だったらしく、それからほどなくして交際は解消。お互い一番の趣味が映画観賞だったがゆえに、そこが擦り合わせられないのは致命的だった。
ちなみにその後交際して結婚した旦那は、映画にさほど興味ない人だが、それゆえ私が家でDVD見てるときはほっといてくれるので大変快適。
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