引用元: ・世界史ちょっといい話
「どうして、あんな男がみんなの尊敬を集めるのだ。いまいましい」
男はそう言いながら、お釈迦様をギャフンと言わせるための作戦を練っていた。
ある日、その男は、お釈迦様が毎日、同じ道のりを散歩に出かけていることを知った。
そこで、男は散歩のルートで待ち伏せして、群集の中で口汚くお釈迦さまを罵ってやることにした。
「お釈迦の野郎、きっと、俺に悪口を言われたら、汚い言葉で言い返してくるだろう。
その様子を人々が見たら、あいつの人気なんて、アッという間に崩れるに違いない」
そして、その日が来た。
男は、お釈迦さまの前に立ちはだかって、酷い言葉を投げかけた。
お釈迦さまは、ただ黙って、その男の言葉を聞いておられた。
弟子たちは悔しい気持ちで、
「あんなひどいことを言わせておいていいのですか?」
とお釈迦さまに尋ねた。
それでも、お釈迦さまは一言も言い返すことなく、黙ってその男の悪態を聞いていた。男は、一方的にお釈迦さまの悪口を言い続けて疲れたのか、しばらく後、その場にへたりこんでしまった。どんな悪口を言っても、お釈迦さまは一言も言い返さないので、なんだか虚しくなってしまったのだ。
その様子を見て、お釈迦さまは、静かにその男に尋ねた。
「もし他人に贈り物をしようとして、その相手が受け取らなかった時、その贈り物は一体誰のものだろうか?」 こう聞かれた男は、突っぱねるように言った。「そりゃ、言うまでもない。相手が受け取らなかったら贈ろうとした者のものだろう。わかりきったことを聞くな!」
男はそう答えてから直ぐに、
「あっ」
と気が付きました。
お釈迦さまは静かにこう続けられた。
「そうだよ。今、あなたは 私のことを酷く罵った。でも、私はその罵りを少しも受け取らなかった。
だから、あなたが言ったことは全て、あなたが受け取ることになるんだよ」
昔、中国の将軍が精鋭部隊を作るとととなり、全国から一騎当千の勇者500人が集められた。
兵営前の広場に整列した勇者達に恐妻家の将軍はこう宣言した。
「これから隊長を決める。自分の女房が怖いものは 列からはずれ、広場の右手にに移動しろ」
ほとんどの勇者は右手に移動してしまったが、列の後方に一人だけ留まった者がいた。
将軍はその男を隊長に任命し、こう尋ねた。
「女房が怖くないのは本当か?」
男は照れくさそうに答えた。
「実は、将軍の話がよく聞こえなかったんです。 で、『他の人とは違う行動をとれ』と
女房に言い渡されていたもので」
なぜこんなことをしているのかと、弟子が民衆の一人に問うと、
「この女は罪人だからだ」と答えた。
それを聞いたイエスは民衆にこう言った。
「ならばしかたがない。続けなさい」
そしてこう続けた。
「ただし、一度も罪を犯したことのない正しき者だけこの女性に石をぶつけなさい」
民衆は、とまどい、やがて一人また一人とその場を離れ
石をぶつけているのはイエスただ一人だけとなった。
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