中学の頃の彼女が遠方に引っ越し会えないまま亡くなった。数十年ぶりにお墓参りに行くとそこにはなんと俺の「孫」が居て？？

中学生の頃付き合ってた人がいた。
もともと幼馴染で、相手のご両親とも仲良くやっていて、自分はこのまま結婚するんだと思っていたのだけど3年生の半ばに相手が遠方に引っ越してしまった。

1年後、彼女が亡くなったことを人づてに聞いた。彼女の引越し先はとても遠くてね、当時田舎の高校生だった俺から見るととても訪ねて行けるような距離じゃなかったんだ。

彼女のご両親とも引っ越してからは疎遠になった。けど、このまま忘れはすまいと、毎年作成するバケツリストには「彼女のお墓参りに行く」を入れていた。まあ思い出さない日は一日たりともなかったんだけどね。で、この春にようやく行ってきたんだ。

彼女のお父様は既に逝去されていたが、お母様に数十年ぶりでお会いできることになった。約束の場所に行くと、そこに彼女のクローンがいた。

そして孫は見た目と声がまんま彼女だった。訛りがあるせいで彼女を重ねるのは難しかったけど、会えなくなったときの彼女が、そのままそこにいてまるで自分が15歳に戻ったような気がした。もちろん気のせいだとはわかっているけど。

で、お母様に同居を打診したよ。そもそもその土地はお父様のご実家にあたるところで、もう親戚もおらず未練もないとのことだったので、俺のマンションに二人を引き取る形で。

そのようにしてこの夏から3人ぐらしが始まって、それはとても楽しい。俺は孫の顔が見れるだけで嬉しいし、お母様が作ってくれるご飯は美味しいし。まあ一番幸せを感じるのは、今の生活に失ったものを取り戻している感があるところかな。3人ぐらしの初日に、この幸せを失うことがあってはいけないと強く誓ったよ。

そのためにはどんな嘘も突き通すつもりだ。実は俺は彼女とはずっと避妊していた。なんで俺が父親ってことになったのか経緯は知らないしわからない。彼女の遺した日記を読んでみたんだけど、最初から俺が父親になっていたよ。

内緒で受けたDNA鑑定の結果が一昨日届いて、お母様と孫は血縁あり、俺と孫は血縁なしの結果が来たけど、これはこのまま墓場に持っていこうと思う。

こういうことでは